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カーリングツール(ストーン・クラッチ)のお話

シルバー

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今日はカーリングの道具のお話です。カーリングの道具といえば、「ストーン」に「ブラシ」、そして以前紹介したシューズがすぐに思いつくと思います。

カーリングストーンは、スコットランドのアルサクレイグ島で取れる花崗岩のみが使われています。強度と滑りやすさに優れ、最適な石ということだと思います。この島は、周囲3kmほどの小さな島なので自然環境を守るため採掘は20年に1度しか行われないという、とても貴重な石なんです。
ですから、ストーンは1個が10万円するんですよ。重さは約20kgあります。1セット16個ですから、160万円はするということになります。今は、ちょっと価格が上がっているかもしれません。私たちがカーリングを始めた頃(40年前)は、1セット200万円していました。

一説では、100年は使用できるということですので、単純計算でいうと、1個1年1,000円ということになります。あと、よく聞かれることがあるんですが、ストーンはボーリングのようにマイストーンというのはありません。あくまでもカーリング場で用意してくれるので、選手がストーンを個人的に買うということは通常ありません。オリンピックや世界選手権ではWCF(世界カーリング連盟)がストーンを用意します。

それと、ストーンは氷との接触で摩耗するので、時々磨くというか、研磨する必要があります。ストーンは上下がないので裏返して両面使用することができます。限られた石ですので、最近は希少性も高まり、接触面の部分だけを取り換えるということをしていることもあるようです。つまり木でいう合板ですね。世界レベルの大会になると、そのような石は使わないと思いますが、接着の技術レベルが上がってきて、見た目ではわからないですね。

個人的には、アルサクレイグ島以外でもいい花崗岩はあると思いますが、おそらく、カーリングの母国スコットランドをリスペクトしての配慮なのかな~とも感じます。日本には以前、底が樹脂のストーンを販売していた会社がありました。網走の会社だと記憶しているのですが(間違いだったらごめんなさい)、アウトドアのカーリングには割りと適していて、帯広カーリング協会も一時、レンタルしていたことがあります。

ブラシに関しては、また機会を改めて紹介する予定です。道具はその他にも、グローブ(手袋)やウエア、ストップウオッチ、蹴るときに使うハック、などいろいろあるのですが、今日はクラッチというものを紹介したいと思います。
クラッチってなに?と思いますよね。実はこのツール、ブラシやシューズなどと違い、みんなが使っているものではなくて、ごく一部の選手のみが使っている道具です。で、私は使っています。
私の使っている写真をお見せしますね。

これだけでは分かりにくいので、使用している写真は以下の通りです。

そう、ストーンを投げるときに、カラダを支えるモノです。通常はブラシで支えますし、上級者になると、支えなくてもデリバリー(ストーンを投げる動作)をすることができるのですが、私はこのクラッチでカラダを支えています。

私も初期の頃は、みんながやるようにブラシを使って投げていました。ところが、20年ほど前からこのクラッチをつかうようになりました。理由は、アクシデントでした。40代のころはスノーボードにハマっていて、冬は毎週のようにスキー場に通っていました。で、それなりに滑れるようになり、調子に乗って、上級者コースを滑ったんです。その時に、コブに足を取られ、滑降コースをはずれて森の中に一直線、木に衝突してしまいました。
幸い、木にぶつかる瞬間に、脚からぶつかるように態勢をかえたので、大事には到らなかったのですが、スノボードが折れ、ヒザをちょっと痛めてしまいました。しかも、右投げのカーラーにとっては重要な左ヒザだったんです。カーリングのデリバリーではヒザを中心にしてカラダを支えるので、ヒザに負担がかかります。それをささえるのがブラシだったりするのですが、私が痛めたヒザはブラシをつかって投げても痛くて、まともにデリバリーすることができませんでした。そんなこともあり、そのシーズンは、ほとんど試合にはでることがなかったんですが、正直思ったのは、「もうカーリングは難しいかも」という思いでした。

ところが、翌年のシーズンにカーリングの交流でカナダに行く機会がありました。前回ネーミングのところでも紹介した、カナダ・レスブリッジの日系カナダ人の大会に参加したのです。その時に、はじめてこのクラッチというものを使用してプレイするのを観ました。いままでクラッチの存在すら知りませんでしたが、瞬間に、これを使えば、まだまだカーリングが続けられるかもと思い、ワクワクしたのを覚えています。なぜかといえば、それを使用していたのは年配のカーラーだったんです。体力が衰えた人が、クラッチを使っていたので、ある程度の障害があっても、これでやれると思ったんです。

ただ、当時日本ではクラッチは売っていませんでした。いまでこそ、日本でも買えるし、その気になれば、インターネットでカナダから取り寄せることも可能です。で悩んだ末、私は自分でつくることにしました。実は、そのカナダに行ったときに、世界チャンピオンになった経験のある日系カナダ人のブライアン・ミキさん(日本の代表コーチでもあったフジ・ミキさんの長男)が自作したクラッチを使ってプレイしていたんです。
私は、彼がプレイしている時に、何枚も写真を撮り、帰国した際に、その写真を見ながらクラッチづくりをはじめました。ホーマックに行ってイレクターを買い、特注でそのイレクターを曲げてもらい、接続パーツもゲットして作りました。それなりに満足したものがデキたのですが、やはり素人がつくった道具といった感じでした。機能的には問題なかったのですが、なんとなくイケてなかったんです。

それで、自作を諦め、プロに頼むことにしました。インターネットのサイトを見て、つくってくれそうな会社片っ端に、自作の設計図を添付してメールしました。ほとんど反応がなかったんですが、1社だけ、ものづくりの本場・東大阪の会社からOKの返事をいただきオーダーしました。それが、さきほど写真で紹介した、ステンレス製のクラッチです。

実際に使ってみて効果は想像以上で、ブラシよりはヒザの負担を軽減してくれますので、なんとかカーリングが続けられ、現在も現役としてカーリングを楽しんでいます。おそらくこのクラッチがなければ、ここまで続けられなかったと思います。
このクラッチは6回の世界選手権すべてで活躍してくれました。とにかく、世界に1つしかないオリジナルですので、海外の選手からもいろいろ質問を受けたり、売ってくれという人もいました。その効果に感動した私は、その後、サイズの違うものや、素材がアルミニウムのものなど、追加で何台か発注しています。どのクラッチもいいできで、大満足しています。

その後、ブラシをクラッチ替わりにできないかと思い、合体型のものを作ったり、インターネットで市販のクラッチをゲットしたり、いろいろ試したのですが、やはり東大阪でつくったオリジナルクラッチが一番で、いまも使い続けています。見た目がシンプルですし、その気になれば、プロであれば簡単につくってしまえるのだろうと思います。ただ、需要がほとんどないので、よっぽどでなければ作らないでしょうね。
ちなみに、クラッチは製作工場でつくったものそのままでは使用できません。そのままリンクで使うと、金属と氷の接触で音もウルサいですし、滑りもいまひとつしっくりこないのです。ですから、私の場合クラッチの底に、クッション素材と合わさったテフロンを貼り付けています。本来は家具などを動かすときに底に貼るものなんですが、それをクラッチに貼り付けていますので、氷と接触してもほとんど音はしませんし、すべりもとても滑らかになります。

海外の選手でも、クラッチを使うカーラーは多いです。以前、ロシアで開催された世界シニアカーリング選手権の時には、カナダの女子選手4人全員がクラッチを使用してデリバリーしていました。オリンピックでも使用している選手はいますし、ブラシかクラッチかの選択の自由ですね。
日本でも、長野オリンピックのスキップで日本選手権を何度も制している敦賀くんが、クラッチを使っていました。今は、オリンピック等の解説をしていますので、知っている方もいるかと思います。

現在、私のヒザは、ほぼ治っているので、クラッチを使わなくても投げることはできると思います。ただ、ブラシでささえるスタイルにすると、フォームが大幅に変わってくるので、カラダに馴染んだクラッチを使い続けています。あと、日本ではクラッチを使う選手が少ないですし、ましてやオリジナルのクラッチですので、他の選手と見た目で差別化できるというメリットもありますね。

では、私が持っているクラッチを紹介しますね。
まずは、いつも使っているクラッチと同じデザインなんですが、分解できてモバイル性に優れたバージョンです。世界選手権でも持っていったモノです。


次がアルミニウム製のクラッチです。とても軽いのですが、私の場合、クラッチは多少重さがあったほうが使いやすいので、普段使うことはありません。

市販されているクラッチに迷彩のシールを貼ったバージョンです。

これも市販されているものですが、デザインがキレイなのでゲットしました。

これも市販されているものですが、あまり使うことはないです。

ブラシとクラッチの合体バージョンです。デリバリーした後に、スィーピングができるようにしました。ハンドルの部分は自転車の部品を使っています。ちょっと分かりにくいですが、ブラシの右端の下に「コブラ」と呼ばれるステンレスのスライダーを使用しています。このタイプは5本ぐらい作ったのですが、試合で使ったことがあるのは、この1本だけです。ただし、氷をこする部分の素材が認可されていないものを使っているので、現在はスィーピングすることができません。

そしてこれが、東大阪でオリジナルに製作した最新のクラッチ。通常のモノよりとても低くて、大きさも小さいです。投げるときに体も低くなるので、私の場合は、投げるラインが見えやすくなり使いやすいです。今後はこのクラッチを使うことが多くなると思います。

以上、クラッチの世界、いかがでしたか?

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石高い!

すごい行動力!俺も東大阪でなんか作ってもらいたい!!!

知らないことだらけ!
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