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オリンピックが近づいて思うこと

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オリンピックが近づいて思うこと

まだ不透明な要素は多いものの、今夏、東京オリンピックが開催される予定です。そして、それから半年後には冬季北京オリンピックが開催されます。これから1年の間に、夏、冬、2度のオリンピックを楽しめるのはスポーツ好きにとってはとても贅沢ではあるのですが、コロナの影響、あるいは国際状況でどのようになるのか気になるところですね。

ということで、今回はオリンピックについて感じることをお話したいと思います。
まずはカーリングですが、開催国を除き、男女とも、まだオリンピック出場国が決まっていません。どのようにして決まるかというと、4月3日から男子の世界選手権が、4月30日から女子の世界選手権が、いずれもカナダのカルガリーで開催されます。そこで6位以内に入賞すれば、オリンピック出場の権利を得ることができます。オリンピックの出場国は、開催国の中国を含めて、男女とも10ですので、世界選手権で残り枠はとなります。ただし、6位以内に開催国の中国が入った場合は、上位5ヵ国が枠を獲得し、残り枠のは最終予選で争うことになります。最終予選の日程及び場所はまだ決定していません。

で、日本は出場枠を取れるかということですが、男女とも私は取れると思っています。場合によっては最終予選での獲得という可能性もありますが、実力的には十分です。
男子は、北海道のコンサドーレが出場しますが、このチームは2年前の世界選手権で4位となっており、メダルまでもう少しでした。チームメンバーは世界での経験が豊富ですし、技術的にもワールドクラスだと思います。リーダーの阿部さんはオリンピックでの監督経験もありますし、サードの清水くんは平昌オリンピックに出場しています。もちろん、オリンピックがかかる世界選手権は、例年以上に各国本気度が違いますので、熾烈な闘いになると思いますが、なんとか6位以内に食い込んでほしいですね。
実は、昨シーズン、男女とも世界選手権はコロナの影響で中止となりました。これがコンサドーレにとってはポジティブな方向に流れました。というのは、昨シーズン日本男子はパシフィック・アジア選手権で優勝できず、世界選手権への出場権を逃していたからです。カーリングにおいて、オリンピックに出場するには、オリンピック直前2年の世界選手権での成績によるポイントで決まります。ですから、昨年世界選手権が開催されていれば、ポイント0で今シーズンを戦わなければならなかったので、おそらく、3位以内に入らないとオリンピックは厳しかったと思います。それが、1発勝負になりましたので、一転6位以内で道が開け、可能性が広がったといえます。


女子は、日本選手権で、平昌オリンピック銅メダルのロコを破った北海道銀行が世界選手権に出場します。北海道銀行は今年一皮むけたというか、ちょっとプチ化けしたチームだと思います。もともと、オリンピアンが在籍し実力があるチームだったのですが、ロコと中部電力の壁をなかなか超えられないでいました。それが今シーズンは、その2つの壁を超え、特にスキップの吉村さんの充実ぶりが目立ちますね。
吉村さんは高校生のころから注目していた選手なんですが、生で試合を見ていて、精神的にいい意味でも悪い意味でもセンシティブなところがあり、振れ幅が大きいな~と思っていたのですが、今年の戦い方をみると、タフさが備わってきて、もう世界のどこで戦ってもイケる選手だと思います。ジュニアの時代には、世界選手権でメダルをとっていますし、若いですが世界での経験は十分です。ちなみに私は、2年前の北海道選手権で、吉村さんと一緒に選手宣誓をしたことがあります。(笑)
女子の方は、昨年の世界選手権出場を決めていましたが、今シーズンの一発勝負になっても、6位以内は80%の確率で大丈夫なのではと思っています。吉村さんの輝きに期待したいですね。

オリンピックの権利を得た場合、日本代表はだれになるのか?ということですが、男子はコンサドーレが日本選手権で連覇しているので、そのままオリンピックに出場します。一方、女子ですが、日本選手権における優勝が昨年がロコ・ソラーレで、今年が北海道銀行ということで、今年の9月に稚内で決定戦を行い、勝ったチームが出場となります。どちらに決まっても実力は文句なしですが、若干ロコ・ソラーレに分があるかな~と現段階では感じます。今後道銀さんがどの程度ブラッシュアップしてくるかが楽しみですね。

あと、カーリングをやっている人以外は意外と知らないのですが、オリンピックにおけるカーリングの種目は、男子と女子の他にもう1つあります。それはミックスダブルスというものです。男女1人ずつでチームを組む混合ダブルスですが、カーリングの中でも割りと新しい種目であり、この種目では日本はオリンピックに出場したことがありません。ただ、世界選手権ではいつもいい成績を残していて、ここ2回の大会では、いずれもベスト8に入賞しています。

ミックスダブルスの世界選手権は、いつもシニアの世界選手権と一緒にやるので、私はリアルで4回ほど観戦経験があります。特に、2018年のスウェーデンでの世界選手権では、ロコの藤澤五月さんとSC軽井沢の山口剛史くんのチームで、平昌オリンピック直後でしたので、とても印象深かいですね。実力的には優勝できるレベルでしたので、見ていてとてもワクワクしました。ミックスダブルスの世界選手権は、当たり前ですが、半端じゃないパフォーマンスのレベルなので、ぜひ皆さんも注目してみてくださいね。

この部門でのオリンピック代表は、昨年日本選手権で優勝した松村(中部電力)谷田(コンサドーレ)組と、今年優勝した吉田夕(ロコ・ソラーレ)松村(コンサドーレ)組が、やはり9月の稚内で戦って決めることになります。これも、世界選手権での上位入賞(7位以内)がオリンピック出場に結びつきます。今年のミックスダブルスの世界選手権出場は吉田夕(ロコ・ソラーレ)松村(コンサドーレ)組ですので、がんばってほしいところですね。ちなみに松村という名前が、それぞれのチームに1人いますが、兄と妹という兄妹対決になります。

それにしても、東京と北京のオリンピックは開催できるのか、気になりますよね。
世界の様々な地域でのリサーチでも、7割を超える人々がこの時期のオリンピックに対して、ネガティブな印象をもっているようです。こんな時期だからこそ、オリンピックを開催し、明るい話題と感動を届け、世界中がすこしでも元気になることを期待するのか、それとも、社会ファーストで、多くの人に支持されない大会は無理して開くのではなく、まずはコロナ対策で国民の命を優先し、延期が中止をすべなのか、みなさんもいろんな思いがあると思います。

ここからは、私の思いをお話したいと思います。
私は、小学生の時、社会科の授業で、オリンピックは「平和の祭典」であると習いました。その時私は、「え?オリンピックが平和の祭典?」と不思議に思ったものです。なぜなら、私はオリンピックとは、今風にいえば、「世界最高のアスリートを選ぶ大会」ではないのかと、子供心に思っていたからです。平和という抽象的な言葉には、とても違和感を覚えました。
ところが、カーリングを通じて、日の丸を背負い、世界選手権に6回出場して感じたことは、オリンピックは「平和の祭典」かもしれないという思いでした。私は、何十年も忘れていた「平和の祭典」という言葉を、50歳を過ぎて思い出しました。

そこには、2つの視点があります。1つは、オリンピックは平和であるからこそ開催されるということです。冷戦時代に、モスクワオリンピックやロサンゼルスオリンピックをボイコットした国があったことは皆さんも覚えていると思います。日本は西側諸国と一緒に、モスクワオリンピックをボイコットしています。もちろん今でも、世界の極地的な戦争があります。その地域の人たちは、生きることに必死でスポーツどころではないかもしれません。そして、この平和には戦争だけでなく、今回のコロナのような感染症の要素も含まれます。戦争もなく、病気もない世界であれば、間違いなくオリンピックは開催されると思います。

それともうひとつの視点は、オリンピックを開催することで、それが平和に繋がるかもしれないということです。オリンピックはとてつもないブランド力を持っています。これほどのブランド力をもつものはそうそうなくて、ビジネスを主としたブランドを省けば、ノーベル賞とかアカデミー賞ぐらいでしょうか?(オリンピックがビジネスだという声もここでは省きます) だからこそ、このオリンピックを通じて世界のアスリート、世界の人々、世界の国々が触れあうことで、他国への理解が深まり、ほんの1%だったとしても、それが平和に
繋がることはあると私は思っています。

そう考えてくると、オリンピックはアスリートファーストでもあり、社会ファーストでもあり、平和ファーストでもあるといえると思います。だけど、メディアに「平和ファースト」という言葉が出てくることはほとんどありません。私は、この3つの中では、平和ファーストが一番重要なキーワードだと思っています。オリンピックは、世界各国、研ぎ澄まされた選手だけが出てくるわけではありません。カンボジアのマラソン代表として、猫ひろしさんが出場したように、「参加することに意義がある」ことも大切なことなんです。
もちろん、選手達は人生をかけてオリンピックを目指しています。それは私も周りにオリンピアンもいますので、肌で感じていますし、かれらの気持ちも理解できます。しかし、オリンピック出場は大きな目標であっても、けっして目的になってはいけないと私は思います。それを目的にすると、バーンアウトする確率が高くなると思います。オリンピック出場の目的というのは、その競技を通じてワクワクした人生をおくるとか、世界の平和につながるといったようなものであるべきだと思います。それはけっしてきれいごとではなくて、ビジョンといっていいと思います。

平和ファーストと考えた時、オリンピックってどうあるべきなのか?ちょっと見える風景も違うと思いませんか?このコロナ禍の中で、平和ファーストのオリンピックってどうあるべきなのか?ぜひ考えてみてはどうでしょうか?私には、いろいろな風景が見えます。

ちょっと話題をかえます。海外からのお客さんは入れないことが先日決まりました。で、次は、無観客でやるかどうかが焦点になると思います。もし、無観客でやると決まったなら、全く新しいオリンピックのカタチをプランニングする必要があることは、誰しもが思っていると思います。その場合、私は、まさに革新的なバーチャルオリンピックを確立するチャンスだと思っています。ITCを駆使した、様々な映像表現を思い切って導入し、発信すれば、新しいオリンピックの楽しみ方が生まれ、それはオリンピックに限らず、様々なスポーツ、そして文化にも大きなイノベーションをもたらすきっかけになると思っています。
たとば、サッカーを見るなら、4Kカメラを100台設置し、あらゆる角度から自由に見ることができたり、VRは普通にできますよね。まるでそこにいて、すぐそばで見ているような体験を提供できれば、面白いな~と思います。
ただし、私は、基本的には無観客ではなく、観客を入れてやった方がいいと思っています。会場には海外から来られなくても、日本に在住している多くの外国人の方々が足を運ぶと思います。そこに起きる多国籍な空気感は、まさに平和ファーストだと思うからです。

さらに視点を変えます。
直接的にオリンピックに関連することではないですが、先日、開会式で渡辺直美さんを豚にするアイデアがでて、最終的にディレクターが辞任しました。このアイデア自体は、ダサいし、いろんな意味で、NGだと思います。ただし、気になることがひとつあります。それは、この「渡辺直美さんを豚にする」という発想というのは、アイデア会議の時に出てきた話しですよね。であるとすれば、全てが悪いとは私は思いません。
私も、いろんなイベントや広告のアイデア会議を数多く経験してきましたが、アイデアを出すときにはタブーはないと思っています。もちろん、人を殺害するような表現とか、行き過ぎた性表現等は別ですが、渡辺直美さんを豚にしようが、菅総理を河童にしようが、私をゴキブリにしようが、アイデアを出す段階では、みんなが納得するいい意見だけではなくて、バカじゃないと思うようなアイデアもどんどん出さないと、イノベーションは生まれません。これを言ったら怒られるかな~とか、バカにされるかな~とか思っていたら、斬新なものは生まれないんですよね。

例えば、渡辺直美さんを豚にしようというアイデアをだれかが言ったとします。その現場に私がいたとすれば、私はこう考えます。そうか、豚は幸福の象徴でもある国もあるし、ラッキーの象徴として、Goldかシルバー、若しくは多様性のレインボー、でもピンクの豚の姿で渡辺直美さんが登場し、バックには、グレーテスト・ショーマンの映画にでてくるような、サーカスの多様性を象徴する人たちが大勢ついてきて、ファンキーな音楽が流れるのと同時に、渡辺直美さんらがキレキレのダンスを披露する。渡辺直美さんはブランド力もそれなりに持っているし、ダンスも上手いので、世界中でけっこうウケるかも。でも、人を豚に例えるのは、非常に失礼な表現だと思う国も多いし、ましてや女性を豚にするのは表現としてどうなんだろう。やっぱりちょっとダサいかな~?だから、結果このアイデアはボツかな~と。
結局、渡辺直美さんというタレントをリスペクトして、そこに愛があるアイデアだったとしたら、それはアリなんだと思います。その時の状況がわからないので、私は個人的な一般論で話をしていますが、そう感じます。これをPlanAとして企画書を上げてきたのなら、いかがなものか?となりますが、ボツにされたアイデアなら問題ないのかな~と思います。行儀のいいアイデアだけでは、面白みが欠けると思うのは私だけでしょうか?

いろいろ話をしてきました。このメッセージは、2021年3月25日にアップしています。ちょうどオリンピックの聖火リレーがスタートしました。ニュースで映像を見ていて感じたことがあります。最後に、それを少しだけお話したいと思います。
まず、社会的には、このリレーに関してもネガティブな意見が多いですよね。その中でスタートしたわけですから、なぜこの聖火をつなぐ必要があるのか、その物語がもっとほしいですよね。伝わってくるのは、コロナ対策をしていますという情報しか聞こえてきません。これだと、このリレーや式典に参加している人が、悪い人のようなイメージになってきます。今からでも遅くないので、組織委員会を含め関係者の方には、ぜひそのストーリーを発信してほしいと思います。

それと、なぜ参加者のマスクが、全員白い不織布のマスクなんでしょうか?これから、コロナ禍の中でもポジティブにオリンピックを開催すると覚悟を決めたなら、もっとポジティブさを感じるマスクをすべきではないでしょうか?オリンピックの多様性を表現する5色をイメージしたり、五輪を輪をモチーフにしたり、いくらでもいいデザインのオリジナルマスクを作ることができると思います。あの雰囲気だと、コロナに土俵際まで押されているようなイメージだな~と私は感じました。もっと元気に、かっこよく行きましょうよ!なんかシケた感じで、暗~いスタートだな~と思いました。

あと、このニュースを見て、バラエティ番組でコメントしている出演者の方が、密だったとか、なでしこの人たちがマスクをしていないとかクレームをつけていましたが、ちょっと過剰反応ではないでしょうか?ソーシャルディスタンスというは、欧米の体も肺活量も、私たちより大きな人たちがマスクをしていないときの距離ですよね。一方方向を向き、それなりの距離をとり、ましてやアウトドアの中では、そのコメントはオーバースペック的な考え方です。それよりも、もっとプライオリティの高い予防手法があるのではないですか?それについて、コメントすべきではと思います。世の中、なんでもかんでもコロナ対策を過剰にすればするほど評価が高まるような空気感は、大事なものを見失いますよ。今回のテーマはコロナではなく、オリンピックなのでこれ以上は話しませんが、もうちょっと大局的に見た方がいいのではと感じました。

ここまで読んでくれてありがとうございます。オリンピックは、多様性のイベントであり、平和ファーストの大会だと私は思います。一番の感動は、応援しているアスリートがいい成績を残すことですが、感動は必ずしも成績だけではありません。半世紀以上オリンピックを見てきて、私はそう思います。皆さんはどう感じますか?

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