3月初め。
夕刊に目を通していると、紙面の中に心躍る見出しを発見。
(2021年3月2日発行/十勝毎日新聞)
記事によると、禁漁区となっている然別湖(鹿追町)で、資源調達や遊漁による魚体への影響を調査する目的として、天然記念物のミヤベイワナを釣ることができるらしい。
この記事を読み終えると、いつもの遊び仲間に声をかけた。
「面白そうな案件がある」
こうして私たちは、冬の凍った然別湖で天然記念物「ミヤベイワナ」を釣るという体験することになった。
泳ぐミヤベイワナ
ミヤベイワナは、世界で然別湖にだけ生息するイワナ類の魚。その貴重さ故に北海道の天然記念物に指定されている。
そしてこのミヤベイワナを保護する目的で然別湖は通年禁漁区になっている。ただ、年に2度(初夏・秋)開催される「グレートフィッシング然別湖」というイベントの時だけ、釣りをすることが許されている(遊漁料4,190円/日)。
…という認識だった。
まさか、冬にも釣る機会があったなんて。
早速、新聞に書いてあった連絡先に電話をした。
すると…
「ホームページに掲載されているレギュレーション(規定)を読み、ご理解いただけましたら、もう一度ご連絡ください」
という対応。
言われた通りレギュレーションに目を通してみると
- 竿は1人1本
- 魚を傷つけない「返し」のない針を使うこと
- 釣穴の大きさは直径 16 ㎝以内
- ミヤベイワナは最初にキープした2匹まで持ち帰っても良い
などの規定が、A4用紙2枚に渡り細かに書かれていた。
天然記念物って色々すごい。
さらに、この調査は各日10人限定という制限があり、「週末はすでに予約で一杯です」とのこと。予約が取れたのは平日だったので、今回一緒に参加する仲間全員(4人)が仕事を休んで参加することになった。
調査当日
然別湖畔に到着
11:00。
予定より早く然別湖に到着したので、まずはお気に入りの「カフェ・ムバンチ」で、少し早めの昼食を取ることにした。
熱さと美味さがせめぎ合うスキレット料理「半熟卵の焼きカレー」
もちろん、食後にはここで提供される絶品スイーツ「自家製ベーグルで作ったフレンチトースト」もいただいた。
食後は集合時間になるまで、冬の期間だけ湖上に現れる幻の村「しかりべつ湖コタン」を回って楽しんだ。
13:00。
集合場所で、ガイドさんからこのイベントの注意事項などの説明を受け、そこから釣り場までは、凍った湖の上を歩いて移動。
集合場所から700m程歩くと釣り場に到着
釣りができるのは、13時30分~15時30分までの2時間だけ。限られた時間だが、テントも風除けもない無い氷の上での釣りとなる。私たちはそのまま雪山へ行ってスノーボードができる格好で挑んだ。
朝、家で準備をしていると「どっか遊びにいくの?」と尋ねられたが、先の新聞記事にも書いてあった通り、今日の釣りは決して遊びではない。
「それでは調査に行って来る」
と言い残し家を出た。
調査(釣り)に使用する竿やエサなどの道具は全てレンタルすることができたので、他に必要な持ち物は自分が座るイスだけだった。
釣り具セットレンタル500円、餌400円。
ガイドさんに氷に穴をあけてもらい、早速穴に針を落とした。
『き、き、き、きたー!』
声のする方を見ると、友人の竿が大きくしなっている!
ミヤベイワナ(天然記念物)
なんと、1投目で今日の目的であるミヤベイワナを釣り上げた。
ガイドさんの話では「今シーズンはかなり渋いです……」と話があったので、そこまで期待はしていなかったが、この後もポコポコと釣れた。
魚がかかると面白いくらい竿がしなる
引き上げると穴から魚が勢いよく飛び出てくる
釣ったら魚種やサイズを専用シートに記録
2匹キープした後のミヤベイワナは全てリリース
だが、もちろんずっと釣れる訳ではない。
釣れない時間が続くと、ガイドさんが近くにやってきて「違う場所に穴あけましょうか」と、優しく声をかけてくれる。そして新しい穴に針を落とすと、また魚が釣れる。2時間という限られた時間、調査員を存分に楽しませてくれた。
ありがとうガイドさん(神)。
この日は、レギュレーションにあった通り、最初にキープしたミヤベイワナ2匹とサクラマス(小型)数匹を持ち帰り、それが我が家の晩御飯となった。
帰り道「扇ヶ原展望台」からの景色
360°動画
最後に、このイベントの様子を360°動画にしたので、グリグリしながらご覧ください!
※スマホの方は「Youtubeアプリ」で見てね!
然別湖の穴釣りは「ワカサギ釣り」とは全然違う力強い引きと、何の魚がかかるかという楽しみがあった。ちなみにこの調査の参加料(遊漁料)は1,360円。こうして、またひとつ十勝の新たな冬の楽しみを知った一日となった。
来年も参戦します!