カナディアンカヌーの情報収集を始めてから、本やモニターの中(あとシルバニアファミリー)でしかイメージしていなかったので、「本物」を見に行くことにした。何事も百聞は一見に如かずである。
あいにく帯広近郊でカヌーを売っている店が探せなかったので、前に店頭で見かけた記憶を頼りに札幌へ向かうことにした。ただ当時はカヌーにまったく興味が無かったので、本当に曖昧な薄い記憶。
『たしかあそこにあったはず…』
帯広から雪が降る悪路を車で3時間強。今日の目的の店「秀岳荘 白石店」に到着した。
『うそでしょ?』
札幌まで来て、唯一の目的の店が臨時休業。定休日はちゃんと調べてきたのに…なんてこった。
だが、このまま帰る訳にはいかないので、スマホを駆使して他にカヌーが売ってそうなショップを探す…が、なかなかヒットしない。ヒットするのはカヌー体験のページばかりでうまく探せない。諦めかけたその時…
『あっ!モンベルだ!』
と、アウトドア総合ブランド「mont-bell」の存在をふと思い出した。事前の調査でカヌーを販売していることを知っていた。たしかサッポロファクトリーに入ってる。よく気付いた!ナイス自分!
ショップに到着するとそこには色々な種類のカヌーが置いてあった。
だが、既に気持ちはカナディアンカヌー1択だったので、他のカヤックには目もくれずに、この赤いカヌーの前に立つ。
そう。何を隠そうこのMad River Canoe 「Journey 156 TT」こそ、スマホの待ち受け画像にしている例のカヌーなのだ。
(01.「カナディアンカヌー始めます」参照)
やっと本物に出会えた嬉しさと興奮を店員さんに気付かれないよう平静を装い、まずはよーく観察してみる。
「で、デカイな(約5メートル)」
「お、重いな(約40kg)」
「た、高いな(約15万円)」
赤いカヌーに下げられたポップを見ながら基本情報を確認。続いて形、色、パーツ、材質、雰囲気を様々な角度から目視で確認。
「これで湖行ったら楽しそうだな...」
「この真ん中の部分に子供乗せて…」
「釣竿はこの辺りに収納して...」
やっぱり本物は良い。
見ているだけでどんどん想像が膨らんでいく。本当は店員さんにたくさん話を聞こうと色々と質問を考えていたのだが、他の客の対応で忙しそうなので、赤いカヌーの周りをウロウロして待ちながら自分に問いかけてみる。
「これ家に置けるか?」
「これ自力で運べるか?」
「本当に買って大丈夫か?」
どれくらい考えていただろうか。たった3つの問いに答えを出せずにひたすらウロウロし続けた。そして我慢できずに...少しだけ、そっと、優しく、赤いカヌーに触れてみた…
『はぁっ…!』
百聞は一見に如かず…百見は一触に如かず!
あれほど悩んでいたのが嘘の様に、本物に触れた途端に答えが出た。「悩み」という壁がボロボロと崩れていく感覚...俗に言うイケる気がしたのである。
『買うなら絶対コレだ!』
『決めた!決めた!カナディアーン!
もーーぅ絶対、決めた!』
♪きめた きめた / おかあさんといっしょより
上機嫌で鼻歌を口ずさみその場で購入を決意。
とりあえず買うことさえ決めてしまえば、あとは立ちはだかる問題を次々とクリアするだけ。「保管場所問題」、「運搬問題」、「お金問題」、そして最後に待つ「嫁説得問題」。
『春になったら迎えに来るからな』
そう赤いカヌーに優しく誓い、店員さんと一度も話すこともなく店を後にした。
(つづく)
ここでは、カナディアンカヌーを所有してさらには実際に水面を漕ぎ出すまでをレポートしていこうと思います。
つづきはこちら
05.「カナディアンカヌーの運搬方法① - 絶対に必要なカーキャリアって何?」