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愛しい十勝晴れ

とかちみっち

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 ふだん使っている言葉が方言だと知ったときの衝撃たるや、将太の寿司を期待せずに食べたときの審査員の顔くらい激動が走る。大量の汗が流れて開いた口がふさがらない。誰でも経験があるだろう。
 ぼっこ、わっか、げっぱ、いずい、うるかすなど、枚挙にいとまがない。押ささるなど、「わたしは悪くない!」と無実を弁明する、状況を的確に表現した便利な言葉なのに、驚くほど通じない。じゃあ標準語でそれに代わる言葉があるのか、といえばないのだからおかしな話である。彼らはボタンが押ささったことがないのか。すべて悪意をもって意図的に押しているのか。恐ろしい人たちである。
 そんな方言のなかで、「これって全国区じゃないのか」と改めて思った言葉が「十勝晴れ」である。以前、その言葉を使ってブログを書いたところ、道外の方から、「素敵な言葉ですね」とコメントをもらったのだ。そのとき一瞬驚き、そして納得した。十勝晴れという言葉は、その名の通り、その地方にだけ定着している言葉だったのだ。

 十勝に住む人なら「十勝晴れ」と聞いて、すぐにどんな空なのか想像できるに違いない。大きくて青くてスカッとしていて爽やかでじめっとした感じが微塵もなくて心地よく気分が上々になる、あの空である。特にこの「スカッ」としているところが特徴的だとわたしは思う。ただの青空とは一線を画す。気持ちも晴れる、セレブな青空である。帰省するたび、あの空を見、空気に触れるだけで心が落ち着く。
 あるとき、仕事の関係で新潟に引っ越した友人が、十勝の空を恋しがっていたことがあった。慣れない土地で住み始めた不安もあったのだろうが、曇天の多い毎日に嫌気がさし、日に日に気分が沈んでいったらしい。「あの空は特別なものだ」と電話の向こうでわたしに熱弁していた。わたしも現在十勝から離れて住んでいるため、その気持ちがわかるようになってきた。
 また、秋田へ留学にきていた外国人の友達を訪れたとき、土地の印象をきいたら、彼は間髪を入れずに、「曇りばっかり」と肩を落としていた。彼曰く、日本の中でも秋田は曇り空が多いらしく、そのせいなのか、自死するひとが多いらしいということだった。
 しかし、曇り空が多いから日に焼けず、色白になり、そのおかげで秋田美人という言葉もあるのだから、一概に悪い気候ともいえないだろうが、やはり晴天の多い土地に生まれ育ったわたしとしては、家を探す希望として南向きの窓がある部屋を第一条件にするように、もしも場所を選べるのであれば、可能な限り晴天率の高い街に住みたいなあと思ってしまった。
 青空を目にすることは、元気を充電する大切な時間なのかもしれない。

 先日、ソファに座る妻がiPhoneを見ながらため息をついていた。出勤の準備をしていたわたしは、ワイシャツのボタンを止めながら、「なした?」と声をかけた。
「ずっと曇り」と、嘆くように妻が言う。アプリで天気予報を確認していたらしい。たしかにわたしの住む地方の気候が不安定で、テレビでも、一週間ほど雨と曇りが続くとの予報だった。妻は、「太陽が見れないと気分も暗くなるー」と声を沈めた。

 わたしは言った。
「じゃあ、僕が君の太陽になってあげる」
 甘い言葉をささやきながら口づけしようとすると、妻が、まるで豚の鳴き声のように鼻で笑い、わたしの愛のこもった台詞を無残にも一刀両断に切って落とした。
 傷つけられたわたしのこころは、いま、十勝晴れが必要である。

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十勝晴れのおかげで、230℃で15分焼いた感じになりました。他の地域なら、180℃で30分といった感じだったかと思います。

十勝に限った話ではないけど
十勝晴れ=放射冷却なので冬は恨めしい

朝の総体は美しいけどね

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