午前8時。
屈斜路湖のアウトレット付近にカヌーを浮かべ、いよいよ念願のカヌーの聖地・釧路川に流れ出す。
左上の「眺湖(ちょうこ)橋」をくぐったらいよいよ釧路川
頭スレスレの高さのない橋の下を通る…ワクワク
橋を抜けると一気に景色が開けた
流れはとても緩やかだった。
パドルで漕がずとも、ゆっくりとカヌーは進んでいく。
屈斜路湖から流れ出す釧路川の源流部は、透明度が高く川底の石が確認出来る程に澄んでいた。
春にこの川を経験しているT先輩を司令塔に、我々のカヌーはどんどん奥へと進んでいく
途中で釣りが出来そうなポイントを見つけては、カヌーから降りて釣りを楽しんだ。
モザイク越しではあるが満面の笑みを浮かべるT先輩の様子が伝わるだろうか
私:『いやー!最高ですね!』
T先輩:『だろ!』
私:『これなら子供(小3)も連れて来ても大丈夫っすね!』
あんなにビビってた聖地…意外と楽勝かもしれない♪
見渡す限りの大自然、緩やかな流れの中ゆったりとカヌーで流れることができる。釣りもできる。時々現れる倒木に注意さえすれば、危険なこともなく川を流れることが出来る…
なんて、思っていた。
そして次第にカヌーの聖地・釧路川が私たちに牙をむき始めた。
少しずつ川幅が狭くなり周りに生えている木々との距離がどんどん近くなっていくと、体を折りたたんでカヌーの中に納めないと進むことが出来なかったり、相次ぐ倒木の影響で川が塞がれ、進路が倒木の間に出来た1m程(カヌーと同じ幅)しかない場面も現れ、流れのある川でそこを狙ってカヌーを進めるのはビギナーの私たちには難しい作業だった。
相次ぐ難所の出現に、春に同じ川を流れていたT先輩も「あれ?こんな感じだったかな・・・」と何度も首を傾げていた。
そして川幅が広がり流れが穏やかになったので、少し休憩…
と、思いきや・・・
急にどんぶらこ!
まさに天然アトラクション!スリル満点!
カヌーから投げ出されるんじゃないかと思うくらいの上下運動にアドレナリン大放出。
『う、ウワァァァーーーー!!』
『イヤッホーーーーーー!!』
さらに再び川幅が狭いコースに戻されると、激しいS字カーブの連続。
『マズイ!右だ右!』
『アイヨ!その次は?』
『んー、左!いや!やっぱり右だ!』
『アイヨ!』
二人で息を合わせて全力で操舵しなければ、クリア出来ない場面が何度もあり、ほんの少しでも判断が遅れると、為す術なく倒木の群にカヌーごと突っ込んだ。
そして何度も倒木に突っ込み、垂れ下がる木々に絡まるうちに、カヌーの上は葉っぱや折れた枝、虫やクモでいっぱいになり、途中で「カヌーを掃除する」という謎のイベントも経験もした。
そして次々と難所を越えていくなか、目に飛び込んできたのは…
我々の少し先を先行していたカヤックの方が投げ出されてしまった様だ。(このあと無事に復帰)
我々も何度も転覆しそうになり、体力が無くなってくると、早く目的地に到着したいと心から願うようになった。
そしてカヌーで出発して5時間後。
無事に2人ともカヌーから落ちることなく、目的地に到着することが出来た。
先程沈してしまった方々とも無事に再会を果たした
無事にゴールに到着できれば、途中で何があっても笑い話になる。
『あそこヤバかったですよね!』『何釣れたんですか?』『どんぶらこ凄かったですよね!』『オジロワシ見ました?』…同じ川を流れた者同士、無事にゴールできた安堵から自然と会話にも花が咲いた。
こうして、初日のカヌーが終了。
序盤で思い描いた『子供も一緒に連れて来よう』なんて夢は、今の実力では到底無理だと思い知ることになった。
そして道具を片付けカヌーを車に積み終えると、これ以上ない疲労感と達成感で満たされていた。
だが、これで終わりではない。
ここから明日のスタート地点へ移動してカヌーを下ろし、さらに明日のゴール地点に移動し、もう一つのお楽しみキャンプが待っている。
(つづく)
ここでは十勝でひっそりとカナディアンカヌーを始めた記録をレポートしていきます
つづきはこちら
53.カヌーの聖地「釧路川」を流れる(パート4)