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04.懇親会にて「おやじの会」の本質を知る / おやじの会
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18時20分。
懇親会の会場は町内にある焼肉屋さんだった。会場に到着すると、おやじの会とおやじ隊が一緒に入れる大きな部屋が用意されていて、私が到着する頃にはすでに席が埋まりつつあった。私は総会からずっと一緒だったお父さんを見つけたので、その隣に座った。
そして辺りを見渡すと、あることに気が付いた。
また人が増えてない?
『はーい、それではアルコールの方は4,000円!ノンアルコールの方は2,500円徴収します!』
夕方の総会からずっと進行を務めてくれている教頭の一声で集金が終わると、懇親会が始まった。
PTAとは違いおやじの会には年会費というものが無いので、その都度全額徴収される仕組みとなっている。先ほど行ったスポーツ交流会も保険料として100円の徴収があった。
100円の保険ってどれくらい補償があるのだろうか...
こうして楽しみにしていた懇親会が幕を開けたが、スポーツ交流会のダメージ(疲労)が思ったよりも大きく、最初はぐったりしている人が多かった。
だが、店員さんが次々と運んでくる「命の水(生ビール)」を乾いた喉に流し込むと、おやじ達のHPは急速に回復。
目の前の鉄板で肉を焼き出すと、会場は一変して楽しい雰囲気と美味そうな匂いに包まれた。
次第に酔いも回り始め、本格的にエンジンがかかってくると、話題はおやじの会という名にふさわしく「俺たちが子供達にしてやれること」…
なーんて話題は一切上がらず
『普段どこ飲みに行きます?』
『あの車モデルチェンジしましたよね』
『あそこにできたラーメン屋知ってます?』
など普段友達と話している内容と変わらないことを喋りながらビールを飲んだ。肉を食べた。
そして少し離れた席で豪快な笑い声が上がりはじめると、そこに引っ張られるかのように他の席の声量もどんどん上がり、顔を近付けないと隣の人と会話ができないほど、我々おやじ達は盛り上がっていった。
『この前、娘に〇〇〇って言われてさー』
『そりゃキツイねー!』
『いやいや、笑ってられるの時間の問題だから!』
肉が旨い。
ビールが旨い。
そう!
楽しみにしていたのはこの感じ!
そして場も盛り上がってきたところで、先ほど私が感じたあの疑問を投げかけてみた…
『今日、会を進める毎に人増えてますよね?』
この日の夕方から始まった総会、スポーツ交流会、そして懇親会。
どういう訳か会を進める毎に確実に人が増えていった。
すると、あるお父さんが
『だって最初(総会)から行ったら「役」当たるでしょ』
と笑いながら答えてくれた。
それを聞いた他の会員も『そりゃそうだ』とビール片手に笑う。
つまり総会に参加するということは、「役を受けても良いですよ」という意思表示になる様で、総会で披露された教頭による問答無用の役決め采配も、ここにきてようやく納得がいった。
そういうことだったのか…
役は当たりたくないので総会は欠席…
運動は疲れるからスポーツ交流会も欠席…
でも旨いビールは飲みたいから懇親会だけ出席…
こんなことも許されるのが、このおやじの会の様だ。あるお父さんが悪びれる様子もなく
『俺なんて毎回懇親会ばっかだよ(笑)』
と大きな声で笑い飛ばしている姿を見て、総会のときに皆が言っていた『無理せず参加するのがモットー』という言葉を思い出した。
こういうことだったのか…
初日にして、このおやじの会の本質を少しだけ垣間見えた気がした。
こうして和気あいあいの雰囲気の中、懇親会は終了のときを迎えた。
『それでは今年も一年よろしくお願いします!』
『パチパチパチパチ(拍手)』
『それでは解散しましょう!』
もしかしたらあるのかな?と思っていた二次会の話も一切出ないまま、気持ちよく酔って騒いだおやじ達は家族の待つ家へと帰っていった。
あー楽しかった!
(つづく)
つづきはこちら
05.入会3年目で「おやじの会」の会長に就任してしまった話