かつ、ピクニック用のシートまで無料で用意されているおもてなしの優しさで、来る人をこころから楽しませている——といった、先日帰省したときにそこを訪れた報告よりも、声を大にして伝えたいことがある。
帯広の穴場を発見したのだ。
麦音に向かう途中、信号待ちで、ふと横を見たわたしの目に、それは飛び込んできた。
穴場だ!
そんなことはさておき(ここからは完全に地元ネタです)、十勝川温泉で有名な音更町と、帯広市を結ぶ十勝大橋を久しぶりに渡ったところ、帯広側で見慣れない建築物が目に飛び込んできた。思わず、「なんだあれは」と口にしていたほどだ。十勝大橋を利用していた十勝出身者で、久しく通過していない者なら同様の感情が湧くに違いない
それがこれだ。
あとから聞いたところ、新しい総合体育館だという。なるほど、そういえばこのトカチニッチの記事でも、以前、他のライターの荒草氏がそれを話題にしていた気がする。確か、建築中のことに触れた内容であった。ずいぶん前の話である。
完成した際の記事を書いてくれていないため、いまもまだ建設中なのかと思っていた。いったい何階層になっているのか、バベルの塔か——と心配していたが、すっかり一新されていたようである。荒草氏にはぜひ追っかけの記事を書いてもらいたいものである。
そんな、新しい総合体育館に背を向けて、今度は音更側へ十勝大橋を渡っていると、またもや目に驚くべき景色が飛び込んできた。
豚毎じゃなくなってる!!!
正確には「勝毎」だが、「豚毎」に見えていたあの看板がなくなっていたのである。幼い頃から慣れ親しんでいた豚毎が変わっていたことに、めまいがするほどの衝撃を覚えた(看板を知らない人には、なんのことだろう話であるが)。
十勝に住んでいるひとなら既知の情報であり、「いまさら?」と感じるかもしれない。しかし、ソウルフードであるインデアンカレーに後ろ髪をひかれつつ、様々な事情により地元を離れ、十勝晴れの空を懐かしく思っている出身者には、仰天の事実であろう。知らぬ間に、時は流れているのだ。
これは、その土地から移住している者だからわかる、驚きの感覚かもしれない。それはそれで、新鮮な、故郷の楽しみ方ではないだろうか。
コロナ禍の影響で人の集まる観光地に足を向けるのを躊躇してしまう昨今ではある。しかし、こんなふうにして、郷土の変化を目にし、思い出に浸る旅も悪くはないかもしれない。
変わりゆく景色もまた観光になると、実家へと車を走らせながら、そう思った。