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03.決戦!おやじの会 vs おやじ隊 / おやじの会
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16時45分。
予定より少しだけ早く中学校の体育館に到着すると、そこには吹奏楽部と思われる生徒達が教諭を囲むような形で集合していた。そこに足を踏み入れてはいけない雰囲気を察した我々、おやじの会は、体育館2階のキャットウォークから、その様子を見て待つことにした。
教諭が言葉を発すると、背筋を伸ばした生徒達が『ハイッ!』とキレと規律のある返事を繰り返していた。そして時計の針が17時に近付くと、生徒達は『ありがとうございました!』と声を合わせ解散していった。
中学生ってこんなにしっかりしていたっけ?と自分の学生時代を恥ずかしく思い出しながら妙に感心してしまった。
我々おやじの会が体育館のアリーナに降りると、同じく部活動が終わるのを待っていたお父さん達が体育館に流れ込んだ。運動靴の紐を結び終えると挨拶も早々に準備体操を始める。
そして先ほどの総会でも進行役だった教頭がステージの前に出て
『それでは始めましょうかー♪』
と、総会の時よりも元気に我々を招集すると、先ほどの部活の生徒達とは違いゆっくりゾロゾロと、20数名のお父さん達が集まった。
『それではおやじの会の皆さんはこちら。おやじ隊の皆さんはこちらに分かれて集まって下さい』
と2つのグループに分けられると、総会では8名しかいなかったおやじの会(小学校)の会員は10人に増えていた。
そして教頭から今年は『ユニホック』という聞き慣れない競技で対決することが発表され、それに使う道具が配られた。簡単に言うと室内ホッケーだ。
『若いんだから前の方で』と後押しされ、フォワードのポジションをやってみたが、軽量のプラスチックで作られたスティックとパックの操作は思っていたよりも難しく、何度も好機を逃した。
始めは皆、『どうぞどうぞ』と遠慮してコートに入らなかったが、得点に動きが出ると状況は一変した。
『パス!こっち!パース!』
『行けーーー!』
『ナイス!ナイス!』
『校長!右!右!』
『うわーーー!!』
『教頭!前走って!』
壁を利用してパスが出来るため、サッカーやバスケットとは違いボールアウトというものが無く、試合が止まるのは点数が入ったときだけ。一度コートに入るとプレーヤーは走りっ放しだった。
5分間の休憩を挟んで後半の開始時には、『どうぞどうぞ本当にどうぞ』と、誰もが本気でコートに入ることを拒んでいたが、タバコ休憩から帰ってこない数人のおかげで、コートに残された私達にはすでに控え(休み)という選択を失っていた。
『○○さん!前、前!』
『ハァハァハァ!』
『右行った右!』
『もう無理ー!』
『教頭!前!走って!』
『ハァハァハァ!!』
一度失った体力はたった5分の休憩では回復するわけもなく、すぐに息が切れて自ら交代を申し出る人が続出した。
だがコートの外にいる控えのメンバーの元へ行っても、両手で×マークを作り無言で『(まだ無理です)』と断られ、泣く泣くコートに戻っていく様子が繰り返された。
『キーパー代わって!』
『私も一緒にキーパーやります』
『その手があったか…ハァ…ハァ…』
『めっちゃ鉄壁じゃん♪』
ゲーム終盤には「キーパーを置かない」というルールも無視して自陣のゴール前に人が集中する始末。そして…
『♪♪ピッピッピーーーーー!!』
待ちに待った試合終了の笛が鳴ると、体力をすべて使いきった両者はその場に崩れ落ちた。勝利を喜ぶ訳でもなく、敗北を悔やむ訳でもない。すでに頭の中はあの事でいっぱいだった。たぶん皆もそうだったに違いない…
『早く飲みたい』
終わってみれば結果は大差でおやじ隊(中学校)に敗北してしまったが、本気で遊んだ充実感と疲労感で心身ともに満たされていた。
こうしておやじの会とおやじ隊のスポーツ交流は誰一人怪我をすることなく、無事に終えることが出来た。
そして、いま何よりも欲しい「冷えたビール」の待つ懇親会へ向かった...
(つづく)
つづきはこちら
04.懇親会にて「おやじの会」の本質を知る