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05.入会3年目で「おやじの会」の会長に就任してしまった話 / おやじの会
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息子(9才)の通う小学校に存在する「おやじの会」。
同じく子供のために活動しているPTA活動と違うのは、所属できるのがお父さん限定ということ。
(会名のまんま)
入会した初年度の総会で、私はいきなり幹事という役をいただいたが( 詳しくは「02.実録!恐怖の役員決め」)、幹事という役名だけで実際には仕事はなく、会員に配られる名簿に役名が入るだけだった。
そして入会2年目の総会。
前年に引き続き校長室に集まったおやじの会。
自己紹介、活動報告、次年度の活動計画に続き、また恐怖のあの時間がやってきた。
教頭『さて、今年の役決めなんですが…』
皆『(ゴクリ…)』
教頭『立候補が無ければ、私の方から指名させてもらってもよろしいでしょうか』
皆『は、はい』
教頭『それでは今年度の会長は…』
皆『(ゴクリ…)』
教頭『Nさんお願いします』
Nさん『わかりました』
即答だった。
事前に話があったのか、あっさりと会長役を引き受けたNさんに男気(おとこぎ)を感じた。この即答によってこの場にいた何人が救われたことか!
(す、スゴイぜNさん!)
教頭『では次に副会長ですが…新会長のNさんの方からご指名ありますか?』
私『!?(そんな展開もあるのか!?)』
教頭の急な提案に校長室に妙な緊張感が漂い始める。
新会長になったばかりのNさんが少し困った様子でそれに応える…
新会長『あ、えーと、そうですねー』
と、事前に配られていた会員名簿に視線を落とした。
少しの間を置き、ゆっくりと上げたその視線は、しっかりと私に向けられていた…
私『(ま、マズイ!)』
そして、少し申し訳なさそうに優しい笑みを浮かべながら
新会長『●●(私)さん、お願いできますか?』
うわーーッ!
やっぱりきたーーッ!
先ほど皆の前で、男気を見せた新会長からのお願いを、私は断ることができなかった…
私『わ、わかりました…』
こうして私は、入会2年目にしておやじの会の副会長に昇進することになった。
(2年目で副会長って…他にそんな団体ある?)
役決めの難所とされる重要ポストの会長と副会長が簡単に決まり、それまで漂っていた緊張感も薄れ、再び校長室は和やかな雰囲気に戻った。
残るポストはほとんど仕事のない幹事のみ。これはすぐに決まって終わるな~と思っていたが、このあと思いもしない事態が私を待っていた。
教頭『それでは次に…』
新会長『あの、すいません』
急に新会長が挙手をして教頭の進行を止めた。
新会長『新副会長の●●(私)さんには、次期の会長もお願いしたいと思います。いきなり会長をやるよりも、副会長を経験してもらってからそのまま会長に就くのが自然な流れかと…』
な、なに―――ッ!?
か、会長はマズい!
名簿に役名が付くだけの幹事や副会長とは違い、会長になるとみんなの前で挨拶しなきゃならない。しかも歴代の会長さんは皆ちゃんとした挨拶をしていて、オトナって立派だなーと、いつも感心してばかりだった。
マズいぞ!
とにかく会長はマズい!挨拶コワい!
会長からいきなりの「次期会長宣言」に戸惑い、助けを求めようと周りを見渡してみると、それはそれはとても和やかな雰囲気で『うん、それが良いね♪』とみんな笑顔で頷いていた…
断れる雰囲気じゃない…
教頭『どうでしょうか?』
私:『・・・わ…わかりました(チーン)』
こうして私は、この年は副会長、来期は会長として、おやじの会の活動をすることになった。
おやじの会の活動は春の花壇整備、夏に運動会の駐車場整備、秋にはビニールハウスの撤去と、校門のペンキ塗り、冬には中学校おやじ隊とのスポーツ交流&懇親会(焼肉&飲み会)…と、あっという間に1年が過ぎた。
1年目の幹事同様、2年目の副会長も特別な仕事は何もなかった。
そして先日。
私にとって入会3年目のおやじの会総会が開催された。
数人の新規会員を迎え、自己紹介、活動報告、来年度の活動計画に続き、あの時間がやってきた。
教頭『さて、今年の役決めなんですが…』
皆『(ゴクリ…)』
教頭『まず現会長のNさんから新会長のご指名ありますか?』
会長『はい、現副会長の●●(私)さんにお願いしたいと思います』
教頭『●●(私)さんよろしいですか?』
私『わかりました』(男気)
こうして私は入会3年目にして、おやじの会の会長に就任することとなった。
そしてそのあと副会長に決まったお父さんに、少し申し訳なさそうに優しい笑みを浮かべながら、「次期会長宣言」を下した。
(つづく)