カナディアンカヌーを買うと心に決め、まずは車にカーキャリアを装着し準備万端で春を待っていたタックルベリー。ところが、札幌で目をつけていた「赤いカヌー」がショップから姿を消している事が判明。本とネットでの情報収集するだけの日々に逆戻りの最中、憧れの「赤いカヌー」の中古艇が、隣街の釧路で売っているという情報を掴む...。
果たしてカナディアンカヌーを手に入れることが出来るのかっ!?
ホームページを見てそこに掲載されている番号にすぐ電話をした。まずはメールで連絡を~なんてそんな流暢なことやってたら、またすぐに赤いカヌーは他の誰かの物になってしまうかもしれない。もう逃がすわけにはいかない!
この時すでにホームページの最終更新日から数日が経過していた...
『プルルルル…プルルルル…』
祈る想いで受話器を握る...
そして数回の呼び出し音の後…
『はい、カヌーショップ○○です』(出た!)
『ホームページ見ました!マッドリバーのジャーニー156まだありますか!?中古艇の赤いカヌーです!』
鼻息全開のカタコト日本語で問うと、電話の向こうから落ち着いた口調で『ありますよ』と嬉しい返事。
『見に行きます!○日はお店開いてますか?』と、一方的にこちらの都合で予定を聞くと、これにも落ち着いた口調で『午後なら大丈夫ですよ』と、無事に約束を取り付けることに成功して電話を切った。
『や、やった…』
受話器を持っていた手が少し震えていた。興奮冷めやまずそのまますぐに嫁に報告することにした。
そう…
まだ「嫁説得問題」が宙ぶらりんになったままなのだ…
タックルベリー嫁の日記
<10月〇日 晴れ>
最近、夫(タックルベリー)の様子がおかしい…
スマホ見てはニヤニヤしてるし、朝方までパソコン向かってコソコソ何かを調べてる。寝言で「カナ」とか「カヌ」とか言ってるけど誰?
さてはアイドルにでもハマったか?アイドルかー。勘弁してよー。
<11月〇日 くもり>
まいったなー。
ハッキリ言わないけど、これは買う気だなカヌー。
何でカヌーなの?そもそもカヌーって買う物なの?買って年に何回乗るの?
いつの間にか本棚に「カヌーワールド」めっちゃ増えてるし。カヌーよりもまずは壊れそうな洗濯機が先でしょうが…。
<12月〇日 雪>
今日もカヌー話熱かったなー。いきなり子供の経験のためとか言ってたけど、自分が一番楽しむ気満々なのもうバレバレだし。車にキャリア付けたけど、ボード乗せる為じゃなかったのか…またアマゾンから何か届いたみたいだし、あの黒いスポンジ何に使うんだろ?あーあ、また洗濯機が遠のいたな…。
<1月〇日 晴れ>
めっちゃ凹んでるなー。札幌にカヌー見に行った頃は5倍増しでカヌー、カヌー言ってたのに、最近は全然言わないし。相変わらず色々調べてるみたいだけど、やっぱ元気ないなー。
「カヌーが欲しい」と言い出してから数か月…嫁からすれば「オイオイいきなり何を言い出したコイツ?」と思ったに違いない。たまたま買った1冊の本(カヌーワールド)から、こんなことになるとは自分でも想像していなかった…。本当はジャーニー156よりもビートウォッシュ10kgの方が欲しい事も知っている…知っているが、ここはチャンスなんだ…一度は失ったアイツをやっと見つけたんだ!
『釧路に行くよ!カヌーあった!探してたのが釧路にあった!しかも安い!見付かった!』
でっかいクワガタ見つけた小学生みたいに興奮している夫(36歳)に、驚いた様子の嫁は沈黙…
『状態が良ければ買おうと思う…』
私は落ち着きを取り戻してから、決死のカヌー買います宣言をした。
すると嫁は
『良かったね』
と笑った。
思わぬ反応に『え?いいの?』と声が出そうになったがグッと我慢した。毎日の様に実施したカヌープレゼンが功を奏したか、それとも呆れて反対するのを辞めたのかは定かではないが、当初、最難関と考えていた「嫁説得問題」は大きな波も立つことなく解決に向かっている様だ(た、助かった…)。
そして、数日後。
私達、家族はカヌーの聖地「釧路」へ向かった。
(つづく)
ここでは、カナディアンカヌーを所有してさらには実際に水面を漕ぎ出すまでをレポートしていこうと思います。
つづきはこちら
09.「カナディアンを買いにカヌー聖地釧路へ行った話」