「北海道に北海道の形をした池がある」という冗談のようなウワサを耳にし、訪れたのは、十勝の東南端に位置する豊頃町。町のシンボルであり、被写体としても有名なハルニレのある町だ。
近年では新絶景として注目の「↗ ジュエリーアイス」が話題となっている。
この町の中心部にある豊頃駅から、北へ500mほどの場所にある小さな公園に「佐々田沼」という沼がある。この沼が、北海道の形をしていると言うのだ。
ウワサでは池と聞いていたのだが、どうやら沼のようだ。
あれ?池もあるのかな??
十勝の隠れた絶景を紹介する企画のロケハンで、地元新聞社のスタッフと共に訪れた。
沼の周囲を一周する散策路やバーベキューハウスがあり、芝生もキレイに整備されているが、普段は誰も居ない静かな場所のようだ。
地上から見る限りでは、北海道の形をしているようには見えないが…
後日、ドローンによる調査を行った。
鳥の視点から見下ろすと…
な る ほ ど !
我々道民から見てもちゃんと北海道している!
周辺の景色も美しい。
冬には全面氷に覆われる佐々田沼。
沼でスケートをしたことがあるという二宮出身の母も、北海道の形をしていることは知らなかった様子。
この写真は、北海道をディープに学ぶ・旅するWEBマガジン「↗ 北海道ファンマガジン」にも採用されました。ありがとうございました。
名の由来や歴史
公園の一角に記念碑があり、裏側に文字が刻まれていた。読むと、佐々田沼の由来や当時の様子がうかがえる。
佐々田良之助之碑
父は富山県に生まれ幼少の頃渡道、永山村において成人後旭川市で呉服業と精米所を営なみ 大正十二年春此の沼に縁あって家族の反対を押し切り単身豊頃に転住し養鯉業を目的としたのであるが 数年たって十勝川の大水害 あって孵化場の鯉がみんな沼へ逃げてしまった。思い出の数多くあるが 父何時も口ぐせにこの沼を遊園地にしたいと言っていた 其れより十余年後上海事変 満州事変等がありこの事業を一時停止した 其のうち十数年たって大東亜戦争が始まり遂に終戦となった。父はこれ迄いろいろな困難を乗りきってこの仕事を持ちこたえるのには非常に精神的な御苦労をされた、その頃近くにいた私は事情があって援助を充二分にして上げられなかったのが残念であった 昭和二十二年秋父は高血圧で倒れ 翌年秋東京より兄が迎えに来て二十五年兄の許で惜しくもこの世を去った この記念碑は私の父を忍ぶせめてもの供養をしたい為ここに建立す
昭和四捨年捨月 前多こまつ
※佐々田良之助之碑より引用
ここに刻まれている通り、
当時、大変なご苦労をされたに違いない…。
現在の佐々田沼は、夏季にイベントや自転車レースの会場となるなど、地元住民に愛されているようだ。
この沼は北海道の形をしているという事だけではなく、人々が夢や希望を持ち歴史に思いを馳せた沼だった!
追記
かつては町民のスケートリンクとして賑わいを見せていた佐々田沼。
「冬の姿も見てみたい」との衝動にかられ、向かったのは極寒の真冬日。
今はひっそりとして当時の面影はなく、足跡もないことから冬に訪れる人はあまり居ないようだ。しかし、そのかわりといってな何だが、大きな犬(熊?)の足跡が点在しており…恐ろしくなってすぐに退散したのであった。
かつての賑わいを想像し…上空からの眺めをVR映像でゆるりとご覧ください。
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