ようやく家族の予定が合うので、前日から車にカヌーや道具を積み込み、カヌーの上で食べる予定のおやつ、息子(8歳)の大好きな「じゃがりこ」も買ったので準備完了。
気にしていた天気にも恵まれた。出発する頃には少し風が出始めていたが、『ちょっと乗るだけ。ダメなら適当に観光して帰って来よう』と心配する嫁を説得して出発した。
目的の屈足湖に到着すると、教えてもらった乗り入れ場にはすでに先客がいた。私達と同じカヌーではなくジェットスキーが停まっていた。
『か、カッケー!』
最新式でピッカピカで派手で立派で色々とカッコいい。息子と一緒になって目を輝かせていると、所有者の方が来たので少し話しをした。
その方も今年ジェットスキーを購入&免許取得したばかりでこの日がデビューだった。
『こんな偶然あるんですね♪』と談笑を終えると、ジェットスキーは物凄い勢いで湖に入っていった。カヌーとは大違いのスピードで『ブイーーーン!』って私達の前から去っていった。
なんだろう…同じデビューなのに、この見せ付けられた感…
『さぁ、ウチらも行こうか!』
と、気を取り直してカヌーに乗り込もうとすると、息子が不機嫌な顔で申し出た。
『あっちが良い…』
そう言って遠くで波しぶきを上げているジェットスキーを指さした。
言うと思った。
絶対にそう言うと思った。
わかるよ…カッコいいもんなー。派手だし速いし立派だし色々とカッコいいもんなー。息子の気持ちはよくわかる。俺だって乗ってみたい…。
しかし!今日はカヌーだ。ジェットスキーではない。
今日は我が家のカヌー記念日なんだ!
『うちはコッチ(カヌー)だよ。さぁ、乗ろう!』
『…。』
『こ、コッチだって面白いよ。さぁ、行こう!』
『…。』
『あっち(ジェットスキー)だとじゃがりこ食べれないよ』
『…え?…そうなの?』
我ながら苦しい誘い文句だと思ったが、以外にも納得した息子(8歳)を乗せた我が家のカヌーは、ようやく湖に入ることができた。
数日前までの雨の影響なのか水は茶色く濁っていたが、湖のド真ん中でカヌーの上から見る非日常な景色はやはり良かった。
カヌーが波で揺れる度に悲鳴と歓声を繰り返し、漕げば漕ぐほど進むカヌーに2人も楽しそうだった。
最初は渋い顔だった息子も一緒にパドルを漕いでいる。じゃがりこを頬張りながら。
そして『嫁さんと一緒にカヌー乗るときは怒っちゃダメだよ』という師匠の金言を忘れず、私は何があっても終始笑顔で漕ぎ続けた。優雅にスイーーーッ!っと漕ぎ続けた。
そして楽しいうちに終了が我が家のモットーなので、1時間程度漕いだところで陸に上がった。特に危険なこともなく無事に我が家のカヌーデビューを飾ることが出来た。
屈足湖からの帰り道。
楽しかったという感情よりも、家族で安全にカヌー遊びを出来たことにホッとしていた。
後部座席から『またカヌー行きたいね』という会話を聞けたことが、今日の一番の収穫となった。
(おわり)
ここでは、カナディアンカヌーを所有してさらには実際に水面を漕ぎ出すまでをレポートしてきました。これまでご覧いただきありがとうございました。
と、約半年に及ぶカヌーに乗るまでの楽しかった準備期間をレポートしてきました。
たった一冊の本から始まったカヌー生活。
本当は泳げない自分が水の趣味にハマるとは思っていなかった。この本を世に出してくれた出版社に感謝しながら、カヌー先輩(すでにカヌーをやってる人たちの総称)の様にこれからマイカヌーワールドを作っていこうと思う。
...ということで次回予告!
「カナディアンカヌーはじめます」改め...
「カナディアンカヌーはじめました」っ!!
乞うご期待!
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17.「カナディアンカヌーはじめました~カヌー練習場所を発見!」