数年前、お仕事仲間である〇川さんに誘われ参加した、中学生以来の登山。
その体験がとても楽しく、それ以来毎年のように登山を楽しむようになった。
足寄町/雌阿寒岳山頂付近の様子。森林限界を越えたその世界は地球離れしていて火星のような雰囲気であった。
とは言え、年に一度登るか登らないかの登山初心者であることに変わりはない。
今まで登頂した山といえば、雌阿寒岳に加えて鹿追町の白雲山、冬の日勝峠スノーピーク位なもの。
そんな我々が今回目標に定めたのは、標高1,239mのトマム山。
中腹には、天国に1番近いカフェといわれている星野リゾートトマムの雲海テラスがある。
雲海から昇る日の出の瞬間。辺り一面がオレンジ色に染まる。
さて、その雲海テラスの更に上に登れるというのをご存知だろうか。
トマム山の山頂から望む360度の大パノラマは、運が良ければ雲海に囲まれた世界が全方位に広がり、この世とは思えないような奇跡の絶景が見られるという。
その景色を拝みながら、淹れたての(セブンイレブンで購入したインスタント)コーヒーを飲みたい…そんなワクワク感で浮足立っていた。
だが我々は冷静を取り戻し、準備を怠らなかった。
万全に臨んだつもりでも大自然の中では何が起こるかわからないからだ。
山歩き・登山の心得
登山者の安全への心構えや自己管理意識はいまだに足りないのが現状だ。
絆創膏ひとつ持たずに登る者や、雨具を持たずに低体温症となり命の危険にさらされる者もいる。
ましてやハイヒールを履いて山を登る者がいるなんて何を考えているのか…「山をなめるな!」と言いたい。
筆者は過去の経験から、それを身をもって実感した。
トカチニッチ公式キャラクターである「神山おじさん」もその経験者の一人。
今回は登山靴を新調し気合も万全だ!
トマム山の8合目付近までは雲海ゴンドラで向かう。
決して楽をしているわけではない。
噂ではたまに熊も出るらしい。危険を回避するための判断だ。
雲海ゴンドラ料金
- 大 人 1,900円
- 小学生 1,200円
- ペット 500円
- ※未就学児や宿泊者は無料
雲海ゴンドラの発着地へ到着したが、早朝5時にもかかわらず物凄い数の人々が!
「出遅れたかっ!」
東京ディズニーランドを彷彿させる、そんな行列だ。
しかもサンダル、ハイヒールなどみな軽装…おそらく宿泊者達でござろうか。
「山をなめてはいけない!」心の中でそうつぶやいた。
そんな中、明らかに浮いている我々一行。左からT氏(顔出しNG)、神山おじさん(歩くフリー素材)。
下界は晴れているが、山頂付近は悪天候であると予報されている。
だが雲海情報サイトによると、天気が悪い日こそ見られる「悪天候型雲海」が望めるチャンスがあるという。期待に胸がはずむ。
ゴンドラに乗り、雲の中へ突入。
この雲を抜けると奇跡の絶景が…
絶景が…?
…雲海テラスは雲の中。
ここからの景色を目当てに登ってきた者達はさぞ残念なことだろう。
しかし我々が目指すのは、その更に上、トマム山の頂上だ。
雲海の定義として、
低い高度で雲が発生し、その雲の天井が観察する人より低い位置にある状態を言うらしい。
すなわち、雲の天井より上に上がれば必ず雲海を望む事が出来るというわけだ。
飛行機からの景色が良い例である。
↓イメージ図
雲海テラスがあるゴンドラ山頂駅から、トマム山の山頂までは標高差にして約150m・距離は約600m程・所要時間往復30分の登山コースだ。部類的には軽登山に当てはまる。
だが油断は禁物だ。
T氏はこれから始まる大冒険に気を引き締め、靴紐を締めなおす。
※後ろの女性はハイヒールだ。完全に山をなめている。
登山道への入り口までは少し距離があるが、
その間は「C9(クラウドナイン)」という子供連れでも楽しめるゾーンになっており新展望台が次々と新設されるなど、ますます注目の観光スポットになっている。
撮影に大人気のフォトジェニックスポットが沢山だ!
道すがらにその様子も確認しつつ先を急ぐことに。
●Cloud Walk(クラウドウォーク)
まるで雲の上を歩くような感覚が味わえる、雲形の展望スポット。
本日は雲でまったく見えないが、真下は崖!度胸試しとしても最高の場所である。
●Sky Wedge(スカイウェッジ)
船の舳先のようにせり出した展望スポット。
本日は雲でまったく見えないが、某映画のワンシーンのような一枚が撮れる、カップルで訪れたいフォトジェニックスポットである。
●Contour Bench(コンターベンチ)
山と一体化した木製ベンチに座り、姿を変えていく雲海をのんびり楽しむことできる。
本日は雲でまったく見えないが、想像するだけでも最高だ。
●Cloud Pool(クラウドプール)
雲の上にいるような浮遊感を味わえる雲形のハンモック。
本日は雲でまったく見えないが、超楽しそう。
この付近でもっとも人気のスポットと言うのも納得だ。
そしてこの先に登山コースの入り口が待っている。
始まる前の緊張感と高揚感が徐々に高まっていくこの感覚。
五感が刺激され、心と体の細胞が活性化されてゆく。
徐々に徐々に。
高まる高揚感が…
おや?
看板の前で固まる神山おじさんの図。
CLOSED!!
CLOSED!!
CLOSED!!!
CLOSED!!!!
・ ・ ・
慌ててスタッフの方に確認すると、ここ最近の雨により、
登山道が荒れ危険な状態となっているため閉鎖されているとのこと。
む・・・無念である。
我々の望みは粉々に打ち砕かれた(泣)
サンダル、ハイヒールで大正解!
現実に打ちひしがれるT氏と神山おじさん。
気合が空回りした典型である。
とても恥ずかしい。
同じ表情を二度と見せることの無い雲海との出逢いは、まさに一期一会。
シーズン中の早朝、その雲海に出会える確率はおよそ40%程らしい。
雲海エバンジェリスト(雲海の魅力を伝える伝道師)によると、
雲海テラスへはリピーターが絶えないという。
雲海が見られた者はその絶景に感動し、
雲海が見られなかった者はその悔しさから再度訪れる。
今回はその後者であったが、
「また来たい。次こそは!」という想いを胸にリベンジを誓い、
トマム山を後にするのであった。
●星野リゾートトマム「雲海テラス」
https://www.snowtomamu.jp/unkai_terrace/