我が家の認識では「海」は涼しい場所。
たとえ真夏でも涼しいのが「十勝の海」だと思っている。
暑い海なんてしばらく体感してないなー
7月の梅雨っぽい天気に続いて、8月中頃には台風がやってきた。 「梅雨がない」「台風が来ない」という、かつての北海道特権がすでになくなっているのを肌で感じる。
台風が明けたこの日。
久々に帯広の最高気温が30度を超えるという予報が出たので、涼を求めて浦幌町の厚内へ向かった。
帯広と釧路のちょうど真ん中の位置にある浦幌町厚内。
帯広から車で一時間ちょうど。
釧路からも車で一時間ちょうど。
人馴れしているのか、カモメもすぐ近くまで来る
厚内漁港のすぐ隣にある浜辺に到着。
それまで太陽が出ていたのだが、海に近付くにつれ少し霧がかかってきて、この辺りの気温はグッと押さえられていた。涼しい。
前日までの台風の影響で波は高く、海水も少し茶色が混ざってはいるものの、人が全くいなかったのでプライベートビーチ状態。
波は高かったが足を濡らして遊ぶ分には問題ない
小一時間くらい浜辺で遊んだ後、隣にある厚内漁港に寄ってみた。
漁船がたくさん停泊
第一釣り人発見
漁港には一人で何本も竿を下ろし、ゆっくりと釣りを楽しむ人達が数人いた。
近付いて「何が釣れるんですか?」なんて挨拶を交わしていると、ちょうど竿がしなった。
「おぉ!引いてる!」
こちらが興味津々で見ていると、おじさんはせっかく釣り上げた魚を、ポイッと地面に捨ててしまった。
ご存じウグイ
ウグイは基本食べる魚ではないので、嬉しくないのはわかるが、地面に捨てるのはちょっと……と、息子と一緒に少し怪訝に思っていると
「見てな」
とおじさんがニヤリと笑った。
すると……
跳ねた
……。
ん?
あ。
「ガブッ!(いただきまーす!)」
この様子を一緒に見ていた息子も、魚(ウグイ)が地面に捨てられた意味をすぐに理解した。
ふと振り返ると私たちの周りには数羽のカモメとカラスが寄ってきていた。
「ガブッ!!(いただきまーす!)※2度目」
「ガブッ!!!(いただきまーす!)※3度目」
だが何度やっても、この子カモメは上手に魚を咥えることが出来ず、ただガブガブとウグイを突っついているだけ。そんな時間が数分間続いた。
思ったようにいかないのは見ている息子も同じ……
そして……
何事も無かったかのように子カモメは去っていった。
「あの子には、少し大きすぎたか~」
と、おじさんが遠い目をしながら優しく笑う。
この様子を撮っていたカメラ(GoPro)を私が回収して、ウグイから少し離れると……
すぐに親カモメがやってきて、一瞬でウグイをひと飲みにした。
私が「じゃ、そろそろ帰ろうか」と息子の手を引くと、息子はその手を振り払って
「ねぇ、もう一回ウグイ釣って!お願い!ウグイ!」
と、おじさんに懇願した。
おじさんと私は顔を合わせて苦笑いを浮かべた。
浜辺と漁港が隣り合わせになっている厚内は、気軽に海を遊ぶには最適な場所だった。 今度は釣り具を持って来ようと思う。そしてウグイを釣ってカモメと遊びたい。